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106*野佐怜奈『don’t kiss , but yes』制作ノート#05

04.スキャット〜part1

この曲は、デモの段階ではまだ構成もアレンジまったく見えておらず、
エレピのコードバッキングと、コンガのループをバックに、
僕が仮歌をスキャットで歌った、とてもラフなものだった。
歌詞の方向を打合せした際に、スタッフの方から、
「この曲は、このままスキャットもありなんじゃないですかね?レイナちゃんと高浪さんとデュエットで」という意見があった。僕も少なからずそう思っていたし、この曲の作詞担当の僕としては「あ、作詞が楽だ・・」と思ったのも確かである(笑)

僕がスキャットという言葉の意味を始めて認識したのは、ご存知、由紀さおりの「夜明けのスキャット」('69)という曲を聴いたときだった。僕が9歳のときだ。


(この最初の映像は70年代後半のもの。お、ジュリーがマイクを手渡してる(笑)彼の衣装からして「憎みきれないろくでなし」の頃かな?〜キャンディーズや森昌子もいるなー。「夜のヒットスタジオ」より。その後も紅白などいろんな映像やインタビューあります。面白いよー(笑)しかし由紀さん、目が色っぽいですね、どんだけの付けまつげかはわかんないけど。あと頬も色っぽい)

♩ルルルルルー♩・・そして♩ラララララー♩・・?そして♩パパパパ♩・・??そして♩アアアア♩・・???あれ?歌詞あるんかい?この歌。と思った頃にやっと歌詞が出てくる。この最初の映像では端折って歌われているが、歌詞の言葉の部分は、

愛しあう そのときに
この世は 止まるの
時のない 世界に
ふたりは 行くのよ
夜は流れず 星も消えない
愛の唄 ひびくだけ
愛しあう ふたりの
時計は 止まるのよ
時計は 止まるの

これだけ、これだけでんがな。小学生の僕にもわかる単語ばかりだった。が、その意味は小学生的にはわからず、いろいろと想像、イメージするばかり。そういう余白のある歌詞が好きだ。ある意味童謡にも近い。このころの歌謡曲には、だいぶイマジネーションを鍛えられたと思う。

次にスキャットを認識したのは・・・



親の手前、めったに観れなかったが、僕らの頃は大橋巨泉さんとか藤本義一さんのころかなー。

で、なんと言っても、スキャットでデュエットといえばフランシス・レイの「男と女」('66)


(スキャット&歌詞・ヴァージョン)


(こっちはインスト&スキャット・ヴァージョン)

この映画をいつ頃観たのか・・たぶん大学生の頃レンタルビデオだったような・・
アンニュイとかシックというニュアンスは、この映画で認識した。氷のように美しいアヌーク・エーメだが、笑うと可愛いんだよね。しかし、このフランス的な恋愛事情、当時はよくわかりませんでした(笑)当時の僕的にはフランスといえばアラン・ドロンだったから、ジャン・ルイ・トランティニャンはなんか地味で、ぱっとしないなーと思っていました(笑)

で、ピチカート・ファイヴのアルバムタイトルにもなったこの映画。「女性上位時代」('68)音楽はアルマンド・トラヴァヨーリ。



(「男と女」のジャン・ルイとは全然ちがうやん(笑)ま、官能的な変態映画ですが、このときのカトリーヌ・スパークの美しさ、可愛さといったら・・・エンドロールの引きのショットもいいですねー)

で、野佐怜奈の「スキャット〜part1」ですが、ほぼ、この「男と女」と「女性上位時代」から出来ています。曲全体の作りと雰囲気です。メロディ的には似てないけど、転調はあきらかにフランシス・レイの影響受けてますねー(笑)

最初は、ドラムもベースも入ったアレンジで進めていました。ベースの田川遊人くんにも、いろいろなパターンを何度も弾いてもらいましたが、どーもぴんとこない。これは根本的に僕が考えた方向性が間違ってると思い、しばらくペンディング状態でした。

その後、何度目かは忘れたけど、東京でのレイナちゃんの歌入れのレコーディングを終えて長崎に帰る日。羽田に向うまですこし時間があったので、新宿を散歩してたら西口方面でフリマに遭遇。お手頃な値段だったので、”長崎の歌姫”市場美奈嬢のステージ衣装用に6着ほど購入しました。

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服の写真を写メで市場ちゃんに送ろうと、フリマ近くのエクセルシオールでコーヒーブレイク。だけど、さすがにいい歳こいたおっさんが、カフェで女性服をひろげて写真撮ってるのもいかがなものか?(うち5着はワンピースで、それを拡げた日にゃ・・)と思いとどまり、紙袋に入れた状態のままの写真を送りました。でもこれじゃあ、何がなんだかわかんないよね(笑)

で、長崎に戻った或る日、市場ちゃんと事務所で打合せをした際に、例の服のサイズ確認も含め、ファッションショーをやったのです。BGMとして、その時たまたまCDラジカセのそばにあった「女性上位時代」のサントラを流したのが運の付き。

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「あ、このサウンド!レイナちゃんの「スキャット〜part1」にいいじゃん・・」とほくそ笑みながら、僕は市場ちゃんの華麗なる七変化ならぬ六変化を眺めていたのでした(笑)

この曲には、まだ余談があるので、次回に続きます。
by playtime-rock | 2012-10-31 21:22
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