2012年 10月 17日 ( 1 )

102*野佐怜奈『don’t kiss , but yes』制作ノート#02

—楽曲解説—

01.「嘘つきルージュ」

人は唇が乾くと舌でなめたり、リップクリームをつけた時みたいに上下の唇をなじませたりする。とくに女の子のそういう仕草は、とてもチャーミングかつエロティックに思える・・こともある(笑)

「さよなら」と別れを告げられ、なすすべもなく「さよなら・・」と返すときの、ある種の絶望と締念が、その滑らかではない乾いた唇に宿っている。でもそれは、暗く重苦しいというよりも、「えっ??なぜ?」という乾いた驚き。「あ・・また・・」と呆然とする女性の唇が目に浮かんだ。

意味合いはちがうが、表情的にはこのラストシーンのジーン・セバーグの表情に近い。この映画の場合は、「さよなら」をするのは彼女の方で、唇はなめないが、指で唇をなぞる。この仕草は彼女が密告したために射殺されてしまったジャン・ポールの癖であった。




この曲の歌入れは6月1日に渋谷のウルトラヴァイヴ・スタジオで行なわれた。
その日はまず、このアルバムの10曲目に収録されている「夏の記憶」という曲のサックスの録音から始まった。プレイヤーは栗コーダーカルテットの川口義之君。僕の大学時代の軽音サークル”青山ベターデイズ”の後輩でもある。大学時代はいっしょに音楽やったことなかったが、お互いプロになってからは、けっこうな頻度でごいっしょしている。

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(譜面を見ながら打合せする後輩と先輩。後ろの毛布は、寒かったわけじゃなく、吸音用です photo by 金田裕平)

サックス終了後は、いよいよレイナちゃんの歌入れです。
首に巻いているのは、僕の弟の長崎雑貨のお店「たてまつる」のたてまガーゼ。
いわゆるガーゼタオルです。喉も守ってくれます(笑)
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(録音準備を待つレイナちゃん。さらに毛布に囲われております(笑))

この日歌ったのは「嘘つきルージュ」と「夏の記憶」の2曲。
事前の遠距離ディレクションでかなり詰めていたので、歌入れもスムーズに終了。
あ、東京でのスタジオセッションのエンジニアは阿部利幸さん。
録り音も、モニターもバッチリでした。ありがとうございます!

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(photo by 金田裕平)

レコーディング終了後、僕は宿のある新宿へ戻り、
ゴールデン街にある渚ようこさんのお店「汀」で数杯。
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(ようこさんと汀にて)

さて、この「嘘つきルージュ」という曲、ギターとベースは東京の鈴木智文さんと中原信雄さんという、ポータブル・ロック(野宮真貴ちゃんがピチカートの前に在籍していたバンド)にお願いした。
が、この日の歌入れの時点では、ギターとベースはまだレコーディングされていなかった。
レイナちゃんは仮の打込みのギターとベースという仮オケをバックに歌ったのだ。ポタロクのお二人とスケジュールが合わず・・・
というのも、レコーディングの翌日の6月2日、ポータブル・ロックのライブがあって、僕らもご招待いただき、レイナちゃんも今後レコーディングで演奏していただくポタロクのお二人と、そのとき初顔合わせをしたのです。
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(終演後の打ち上げで。左から中原さん、鈴木さん、僕)

レイナちゃんにとっての憧れの人、野宮真貴ちゃんとは、以前ファンとして会ったことがあるとか。この時点では、来る11月30日のリリースパーティで真貴ちゃんやポタロクと共演することになろうとは、誰も思っておらず・・・
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(終演後の打ち上げで。真貴ちゃんと。なぜか写真が横になる・・)

今回は二人のアレンジャーとコラボした。この「嘘つきルージュ」はそのうちの一人、ミスゴブリンや中川翔子の作品でもごいっしょした森山輝一くんとの共同作業だ。


(ミスゴブリン・PV「おとみさん〜TOMMY〜」)


(Dear my saint girl)

曲全体のかんじは、モータウン等のノーザン.ソウル系。
弦のイメージはバネッサ・パラディの「BE MY BABY」です。
曲全体的にはあの曲ほどシンプルではありませんが・・
僕が書いた弦管の基本ラインに、森山くんがさらにフレーズをアダプトして、
実に、ふくよかでカッコイイ仕上がりにしてくれました。
そして何と言っても隠し味のティンパニー!これ個人的に興奮します(笑)
森山くんのファインプレーですね。

”ボタンを〜”という大サビで聴こえてくるギターの裏メロは、
ホリーズ的な、バス停的な・・思わずニヤリ。
これはギターの鈴木さんのファインプレー(笑)

ミックスはラヴ・タンバリンズ等で、いわゆる”渋谷系”を同時代体験というか共有した、ハンマーレーベルの森達彦さん。<http://www.hammer-label.com/node/29>こんなに音数多いのに、ソリッドでメリハリのあるバランスと音像に仕上げていただきました。

この「嘘つきルージュ」、テレビ朝日「セレクションX」のエンディングテーマになっております。
PVのショートバージョンはこちら。



というわけで楽曲解説、次回につづきます。

01. 嘘つきルージュ
作詞:高浪慶太郎 作曲:高浪慶太郎
編曲:高浪慶太郎&森山輝一
ギター:鈴木智文 ベース:中原信雄
コーラス:野佐怜奈&高浪慶太郎
プログラミング:高浪慶太郎&森山輝一
レコーディング・エンジニア:阿部利幸
ミキシング・エンジニア:森達彦(hammerlabel)
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by playtime-rock | 2012-10-17 21:28